人生BADハマり

東大卒アスペ傾向Web系エンジニアの人生戦略

東大を目指す16歳の私へ(後編)

前半はこちら nearnoah.hatenablog.com

後半では大学以降の研究・就活・仕事に関する話と、最後に「受験おすすめプラン」と称して大学受験のtipsを端的にまとめていきます。

私が大学でやったこと

前半でも触れましたが、大学では(就活も何となく意識しつつ)ひたすら自分と社会のことを知るのが効率的な立ち回りに思います。

少しでも興味あると感じたことに片っ端から取り組み、(出来れば複数種の)バイトを通じて仕事や社会の片鱗を感じることで将来のビジョンを描きやすくなると思います。

私が具体的にやったことは以下です。

  • 音ゲー
  • 資格取得 ◎
  • サークル ○
  • バイト ○
  • 勉強 △
  • 研究 🙅

留学とかボランティアとか無くてすみません。意識高いのは16歳くらいでやめたんで……。そういうのは他の発表者さんが語ってくださったので、同じこと喋っても多分つまらないので省略ということに現場ではしておきました。物は言いよう。

それぞれの詳細については単なる自分語りに終始しそうなので今回は置いておきます。

研究=「学問を創る側」に興味がありますか?

これは今回私が声を大にして言いたいことの一つなのですが、研究に興味が無い人は大学院に行くと大変です。

理系の皆さんは何となく「理系は修士に行くのが当たり前」「理系の大学生活は6年間を前提に考えるもの」という認識があると思います。実際間違っていません。私の学科でもおおよそ9割は修士に進学しましたし、ほとんどのいわゆる偏差値上位校の理系は同じような状況でしょう。

東大の進振り制度は便利な一方、専門的な勉強を始めるのが遅くなるという大きなデメリットを伴っています。私の所属していた学科では学部4年になってはじめて研究室に配属となり、それまでに論文を読む機会は自ら主体的に取り組まない限り基本的に皆無です。しかし研究室配属からわずか3ヶ月後の7月には院試の出願シーズンが到来します。いっぽう学部卒で就活する場合はとっくに動き始めてないといけません(3年の10〜11月とか)。

研究に一切取り組む機会が無いまま、修士に進むか学部卒で就活するか選ばねばならない。これが現状です。

よほど熱心な学生でなければ、学部4年になるまで研究らしい研究に取り組むことは無いでしょう。東大ですら私の感覚だと1-2割も居れば良い方かと思います。 ということは、大半の人は自分が研究にある程度適性があるという保障もなく修士に進学しているのですね。

ところが修士でやること=研究は今までの小学校〜大学学部までとはガラッと方向性が変わります。既存の学問を学ぶのではなく、自ら新たな知を創造しなければならないのです。これはもの凄くざっくり言うと、本を読むことと書くことくらいの違いがあると思います。

更に言えば研究には“生む苦しみ”が伴います。実験をして、成果が出るとは限らない。誰も解いたことのない問題を解こうとしているのだから当然です。それでも締切はやってくる。テーマが決まらない、結果が出ない、常に不安との戦いです。研究とは本質的に苦しいものだと思います。だからこそ成果が出たときの喜びは計り知れないのかもしれませんが、私はそこまで辿り着けたとはとても言えないので深くは触れないでおきます。

お勉強が好きなだけで、学問という巨大な知の建造物に自ら新たなレンガを一つ積み上げる、という行為には興味が持てなかった。

だから私は修士課程を退学しました。

何か画期的な対策があるかというと正直無いです。学部4年ともなればもう21歳。自分にとっての正解は自分にしかわからない。続けるも撤退も自己責任です。

とはいえ、もう少し研究への適性を見極めてから修士に進学するか決められる制度にどうにか出来ないかと思わずにはおれません。

就活

自分がやってきたことの棚卸しをしてみました。

  • 山手線を徒歩で1周企画
  • 同人ゲーム制作
  • 同人誌即売会運営
  • DJイベント運営

この辺りを眺めていて、創作自体も好きだけど、プラットフォームを作って、そこでダイヤの原石が最大限輝ける場所を提供する裏方役にも向いてそうだなと思うようになりました。なのでそんな感じのWebサービスを作る仕事に今は従事しています。

何度も書いていますが、自分が今やりたいと思ったことに片っ端から首を突っ込んで、向いていること・出来ることをどれだけ細かい粒度で語れるかが重要だと思っています。就活のマッチング率を上げるためにも、QOLを上げるためにもです。

仕事の悩み

周りのスキルが高すぎる! これに尽きます。

東大が学力偏差値70なら弊社はさしずめ仕事偏差値70といった所でしょうか。他社をあまり見ていないので何とも言えませんが。東大に入学したときと同様、うっかりこんな場所に入れてしまったからには精一杯やらねばという気持ちで1年半やってきてます。

めっちゃ当たり前なんですけど、東大じゃなくても優秀な人間なんてごろごろ居ます。勉強以外にも無数のフィールドがあって、それぞれにトップを走る人々がいるわけです。

思えば新しい環境に身を置くたびに挫折を味わっている気がします。中学に入れば周りの頭の回転の良さに圧倒されて挫折。大学に入れば勉強単体でも勝てないのに勉強以外の分野でも高いスキルを持った人(通称人生2周目)に圧倒されて挫折。仕事を始めると「勉強が出来ること」と「仕事が出来ること」の違いをリアルに感じて挫折……。そしてそのたびに生存戦略を練り直してきました。

とはいえそのくらいのシビアな環境が丁度良いのではないでしょうか。僕は「鶏口牛後」はコスパが悪いと思っています。自分がビリ=伸びしろしかないということなので。まあ、メンタルが続く範囲で、ですが。

目下自分がやるべきこととしては、目の前の仕事をひたすら倒しつつ、エンジニアリングのスキルを磨きつつ、引き続き興味関心の掘り下げを行うことだと思っています。最近は読書や株、スマホアプリを漁る、blogでアウトプット等、本当に気ままにやりたいことをやることを心がけてます。

正解のない時代

「AIが仕事を奪っていくことで、人間のやる仕事が無くなるのではないか」といった論調が絶えません。最低限の生活コストが限りなく0に近づいた結果、ベーシックインカム(BI)を導入すれば仕事をしないで済む時代が到来するかも、と主張する人もいます。

社会の枠組みが変化するレベルで10年20年先が見通せない時代、なおさら「どう生きるべきか?」という問いが重要性を増してきています。対する答えとしては、どんな類書を読んでも大体同じことが書いてあるように思います:「好きなことに夢中になれ」と。

浅学な私なりの解釈で恐縮ですが、今後の社会の枠組みの変化に関して、大まかに言って2つのシナリオが想定できると思っています。1つ目はAIが定型業務を奪い尽くして人間には「新しい仕事やビジネスを創造する」という高度な仕事しか残されないケース。もう1つは仕事をしなくて良くなるケースです。前者が起こった結果大半の人は高度な仕事をする能力がなくBIを導入せざるを得なくなり結果仕事をしなくて良くなるとか、細かいシナリオは色々あると思いますが。

いずれのケースでも「好きなことに夢中になる」というのが一つの答えになってくるのでは、というのが私なりの考えです。まず「新しいビジネスを創造する」というのは様々な分野に精通する中で脳内であらゆる物事が有機的に繋がって生まれるものだと思います。どうせ色々経験するなら好きなことに夢中になるのが一番吸収効率が良いはずです。いっぽう仕事しなくて良くなるケースの場合、もはや好きなことをやって悠々自適に暮らせるかどうかがQOLを最も大きく左右する要素になるのは自明だと思います。なのでいずれにせよ興味あることにとにかく取り組んでおくというのが今後生きていく上で間違いの少ない生存戦略なんじゃないかなと考えてます。

大学受験おすすめプラン

大学受験の目的をはっきりさせる

とにかくフラットなところからスタートしましょう。たとえば高2の夏の私はVOCALOIDで作曲もどきをしていたので、専門学校のオープンキャンパスにも足を運び、自作曲にアドバイスをいただいたりもしていました。

いっぽう考えすぎて行動力が無いのも考えものなので、どこかで腹をくくることは必要です。答えが出ないなら進振りのある東大がおすすめです。

何となく固まってきてもこなくても、高2の10月くらいからぼちぼち勉強を始めましょう。受からなければ大学には入れません。

「現状」と「最終目標」をできるだけ詳細に把握する

現状とは今の自分の学力です。普段の定期テストや模試で大体把握しているはずです。最終目標は志望校の本試験で試験当日に合格点を上回ることです。過去問を見たり解いたりしつつ、試験科目や出題傾向、レベル感、配点などの基礎知識を仕入れましょう。

始点と終点がわかれば、あとはその間を埋めるだけです。彼を知り己を知れば百戦殆ふからず。

私が受験生の頃はライトな参考書オタクでした。週1は本屋に通い、参考書をチェックしていました。参考書はレベル感や合う・合わないを最低3度は確認してから購入することでミスマッチを減らすよう意識していました。今でこそ受験関係のblog等の情報源は腐るほどありますが、当時(9年前)は2chの大学受験板まとめwikiを穴が空くまで読み返して参考にしていました。

また、受験当日までにどの参考書をどのタイミングで何周目をやるかを全てリスト化していました。リストは学習の進捗状況や模試のフィードバックを参考に随時アップデートしていきました。学校のカリキュラムにも最大限乗っかりながら、最適なスケジュールを磨き上げました。

オープンキャンパスや学園祭に行く

「無料で願書を入手できる」という口実で駒場祭(高3の11月)にも行きました。このとき学園祭で同人誌即売会が行われている光景を見て一気に入学意欲が高まりました。こういうエモ体験が勉強のモチベーション維持にはめっちゃ大事だと思います。入学後の自分がリアルに想像できればできるほどモチベは高まるはずです。

もちろん勉強が進んでなくて学園祭なんて行ってる場合ではない、という判断もアリです。その辺は全部自己責任です。

学校を最大限活用する

ある程度の進学校であれば、「普通に」授業を受けて宿題を一つ一つ丁寧にこなしていけばそれなりの実力がつくんじゃないかと思います。少なくともウチの出身校はそんな感じでした(そうでない場合はなんか、頑張ってください)。

まあその「普通に」こなすのが案外出来なかったりするんですけどね。

おわり

以上、健闘を祈ります。

こんな先行き不透明な時代ですが、一緒に頑張りましょう。