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東大卒アスペ傾向Web系エンジニアの人生戦略

アウトプット大全 〜まずは自分のために書く

概要

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

大半の人はインプット過多に陥っている。いくら本を読んだりセミナーを受けたりしても、アウトプットに結びつけなければ全て忘れてしまう。in : out = 7 : 3 を 3 : 7 に近づけていけると理想的だ。

そんな問題意識を起点に、日常会話から書くことに至るまでアウトプットをあらゆる側面から分析、アウトプット力を上げ「学びを結果にかえる」ためのノウハウがふんだんに盛り込まれた一冊です。

目次

読んだ動機

仕事を始めてから1年半、社員同士の会話のスピードが早すぎて、着いていくだけで精一杯。また細部の細かなミスに気づくのは得意なものの、全体を見て「今、何が一番問題なのか?」といったことを考えるのに苦手意識がありました。

私自身東大出身で、東大生はいわゆるアスペルガー症候群が多いと(冗談めかして)よく言われることもあり、念のためWAIS-IIIという検査を受けたところ、(診断こそ下されませんでしたが)案の定そのような傾向がある程度見られるという話でした。

一般に「苦手を潰すより得意分野を伸ばす方が簡単で、能力も発揮しやすい」とは言われますが、さすがに比較的短時間で回避出来る問題の芽は摘んでおきたいものです。

それにこれからのAI時代、ルーチン化可能な作業は仕事として成立させるのがますます難しくなっていくはずです。社会全体の中で自分の立ち位置を見極め、幅広い知見を仕入れつつ「結局今、何が問題なのか?」を見つけられることが、今後のAI時代を生き抜くポイントになってくるだろうと思います。となると、苦手だからと言って無視を決め込む訳にもいかないでしょう。

こうした問題意識の中、7月ごろから集中的に本を読んだり自分なりの思考をEvernoteに書き殴ったりもしたのですが、なかなかinputした内容が自分の血肉と化していく感覚が得られず、さほど深い思索が出来ない状況にややもどかしさを感じていました。

少し長くなりましたが、こうした中で出会った本書の触れ込みはまさに私のニーズと合致していたというわけです。

人に見てもらうことを意識して書くのが大事

本書でも述べられていますが、知識を血肉化するという観点では、SNSよりもblogの方がかなり効果的だと私も感じます。SNSは私を含む大半の人にとって内輪の井戸端会議の延長くらいのものなので、分かりやすい文章を書こうという緊張感が不足しがちです。

もう何年も昔の話ですが、一時期毎日blogを書いていた頃がありました。当時は特に苦労せずとも、日々の生活の中で「これネタに使えそうだな」というものが勝手に見つかるようになっていたように思います。

こうした好循環が回せれば、アウトプットを前提としたインプットが無意識に出来るようになり、ますます学習効率が上がるのでは? と思います。

アウトプットの練習のために書く

ただこうした習慣もある時ふと途絶えてしまいました。「別に自分が考えているようなことなんて別の誰かが考えているし、敢えて自分が書く意味ってあるのか?」という無意味感に突如苛まれたのです。大学院生がよく陥るアレです。

今思えば、少なくとも「自分の意見なんて取るに足らない」といった極端なニヒリズム的思考は、自分自身に人権を認めない不健全な考え方に見えます。書くことに限らず、創作には自分の欲求と向き合う=自分を大切にする時間を明示的に作ってあげる側面があり、その行為自体が何より自尊心を向上させる(あるいは辛うじて維持させる)ことに繋がっているのでは? という気がしています。

確かにすぐに誰かにとって有益な事は書けないかもしれません。文章能力が低くて支離滅裂になってしまうかもしれません。しかしそれでもまず書かなければ始まりません。書き続けることによって文章能力のみならず思考も洗練されinputが血肉化されていく。当たり前の話かもしれませんが、だからこそ下手くそでも書くことに意味はあるのでは? と思っています。幸か不幸か、たいていの場合どうせ誰も見てないので、恥ずかしがる必要もそんなにないと思います。知らんけど。

感想

正直なところ、8割方どこかで聞きかじったことのあるような当たり前体操です。

  • 人と話すときは非言語コミュニケーションが重要
  • 自己開示の返報性
  • パブリックコミットメント(目標は公言した方が達成しやすい)
  • 人に教えることを前提に勉強するのが最も学習効果が高い

とかとか。ただしその一つ一つに論文レベルの裏付けをしっかり取っているので信頼が持てるところ、そして網羅性が高いところが◎ポイント。

一方で

  • アウトプットのタイミングはインプットの直後がベスト
  • 「読まれる」という緊張感が集中力を高め、文章力が上がる
  • 頭の良さは生まれつき完全に決まっているわけではない

といった比較的見かけないinsightも随所にちりばめられており、kindleのハイライトが捗ります。細かいtipsをじっくり知りたい方は是非実際に読んでみることをお勧めします。

何より冒頭で述べられている「人々はインプット過多であり、アウトプットすることで初めて成長できる」というのがtake-home messageです。

まとめ

「何となくニュースやネット記事、本を読んではいるけど、いざ自分の意見はと問われると月並みな事しか言えない」といった悩みを持った方は一読の価値があるかと思います。

私個人のnext actionとしては、このblog含め駄文で構わないので出来る範囲でoutputを継続していくこと、数値化するならまずは月5本くらいは何か書けるといいかな? くらいに考えてます(体調次第ですが……)。

ハイライト

  • blogを出来れば毎日書いてみる
  • 非言語的コミュニケーションを意識した挨拶をする
    • 自己開示の返報性の原理
  • 良いと思ったことをきちんと褒める
  • 謝るべき場面では素直に謝る
  • 自分の人生の中での優先順位をはっきりさせる
  • 出来るだけinputした直後にoutputのメモ書きだけでもする
  • 時間を決めて書く。あらゆる作業に制限時間を作る
  • ひらめきの機会を作るため、意識的にリラックスするための時間を作る
  • 目標は毎日見返せる場所に書く
    • 暗唱できるレベルにする
  • 緊急性の低いメールやSlackのチェックは朝やらない
  • 笑顔を作るとハッピーになれる
  • 有酸素運動とストレス軽減で脳神経を発達させる
  • 感想文はbefore + insight + TODO で書く